周りの妊婦さん
街中や電車で遭遇する知らない妊婦さんや乳幼児連れを見ても、心を掻き乱されることは特に無いし
テレビはめったに観ないので、おむつのCMに涙することもないのですが
職場の妊娠ラッシュには参ってしまいます。
すでにおなかの大きい妊婦さんが2人いましたが、1人は私の自宅安静期間中に、もう1人は夏の終わりに産休に入りました。
奥様が第2子を妊娠中 とか
孫が増えます という男性社員もいます。
他部署だけど同じフロアの女性が、2ヶ月目からマタニティマークを付けていました。
彼女は私とほぼ変わらない時期にご懐妊された様子。
私は初期の頃、電車に乗るときは付けていましたが、職場にはマークは隠していました。まだ報告してなかったし流産の可能性もあるから…と気にしていたので。
で、心配していた初期流産になったので、状況を知っているのはごく限られた人たちだけです。
なので、そんな早い時期から平然とマタニティマークを見せる彼女には、憤りすら覚えました。
彼女には何の関係もない。
けれど、真っ暗な気持ちに沈んでいる目の前で、幸せそうな妊婦さんが「のほほんと何も考えていない、ただの事務員」と歪んで見えてしまいました。
なんで私はダメだったのに、あの人は無事なの?
身も心もぺったんこの私とは対照的に、すくすく膨らむ彼女のおなか。
挨拶する程度の間柄でしたが、流産後は姿を見るのも辛く、すれ違うときは俯いて逃げるように立ち去っていました。
あと、同じ部署にももう1人いたのです。
同じ時期に入社した庶務の女性。新婚でした。
小柄でおなかが目立たなかったため確信はなかったけど、入社後しばらくしてワンピースを多用するようになったり、オレンジジュースをよく飲んでいたので (もしや?) とは思っていました。
10月、朝礼で部長が
「庶務さんが再来週から産休に入られるとのことで、交代の派遣さんが新しく来られます」…
あー やっぱり
と納得したけど、事実として突きつけられるとかなりショッキングでした。
気が付けば、手が震えていて
爪が掌に食い込むほど強く握りしめていました。
痛みに自分で驚きました。
彼女が産休入りする日は、ちょうど私の産休開始予定の1ヶ月前。だから、私より1ヶ月先に妊娠していたということになるな…と、朝礼中に計算していました。
気を取り直して仕事を…と自席に戻った矢先、
上述の他部署の妊婦さんがママさん社員(育休明け復帰したばかり)と談笑していました。
「いま何ヵ月?」
「もうすぐ6ヶ月で…」
と、私の席の近くで会話しています。
もう、いてもたってもいられず
トイレに駆け込んで泣きました。
産休で抜けていった先輩たち。
8ヶ月の同期。
7ヶ月のはずだった私。
6ヶ月の同僚。
育休から復帰した先輩。
ご家族がおめでたの男性社員たち。
なんで私だけ こんな目に遭ったの?
何がいけなかったのか?
私が悪い人間だからなのか?
あの人たちは呑気にやってるのに
私ばっかり苦しい つらい 悲しい
久しぶりに大泣きしました。
自分は無力で、欠陥品なんだと思えてならなかった。
これまでの人生、努力すればするほど結果は応えてくれたし、努力しなければ望むものは手に入らなかった。自分の人生は自分の責任と思っていたけど、今回はじめて自分ではどうにもならない出来事に直面して、心をまっすぐ保てなくなっていたのかもしれません。
もう仕事にも手がつけられなくて、
午後休を取りました。閑散期で助かった。
会社を出たその足で、赤ちゃん寺に行きました。
お線香を上げて、しばらくぼーっとベンチに座っていました。
会いたかったのに。
どうして行ってしまったの?
私がママじゃいやだった?
君は、どんな子だったんだろう。
どんな顔をして、どんな声を出して、
きっと賢い子になっただろう。
夫に似て目元がパッチリしてるといいな。
私の色白なところにも似てほしいな。
心の中でたくさん話しかけて、家に帰りました。
この日の大きな衝撃は、予想より尾を引きませんでした。
早々に「ストレス源(失礼な言い方ですが…)」と距離を置いたから、ダメージも少なく済んだのだと思います。
翌日からは何事もなく仕事に戻りました。